自転車通勤

 

 最近自転車に乗り始めた。家の近くの中古自転車屋でスポーツタイプの自転車を見かけ、値切って手に入れた。いきなり自転車に乗って蒲田まで走り、へとへとになってやっと駅にたどりついたのが一か月前。それから二日に一辺ほど、自転車通勤にチャレンジしている。これが意外といいのだ。運動不足が解消され、ダブついていた体がだいぶ絞まってきた。太ももなんかは久々に筋肉痛で痛かったりして。おお久々の感覚。思えば仕事はしていたが、肉体労働が生活から欠けていたのだ。筋肉痛の無い生活を続けていたら、汗もかかない。やはり汗をかいて腹がすいてご飯を食べると、ちゃんとエネルギーとなって体に廻るようになる。食後のでっぷりとした腹の重さから解放された。

 自宅の石川町から、蒲田まで約一時間半ゆっくりと自分のペースで自転車をこぐ。それだけで東海道の一部を旅している気分になるのが面白い。そういえば小学生2年の頃、はじめて自転車に乗って家から遠出をした頃の感覚を思い出した。自転車で新しい世界に飛び出した面白さに、一人で走りまわっていた。ただ青い空気の中を走るのが楽しかったのだ。

 途中に必ず素通りしていた鶴見の街を改めて自転車で走ってみると、意外に素敵なカフェがあったり、鶴見川を渡り、川崎に出て、もうちょっと頑張ってペダルをこいで、多摩川の橋を登ると、多摩川の開けた空気が、川風とともに新しい視界を見せてくれる。橋の真ん中で自転車を止め、煙草を吸いながら川岸を眺めると、すぐ下でゴルフの練習をしているオジサンたちと、無数のゴルフボールと緑の芝が拡がっている。橋を渡り切ると六郷に出る。ここから裏道に入る。ここから蒲田までは実は銭湯の充実地域なのだ。最近見つけたのが六郷の照るの湯、これたよい。蒲田付近は黒湯で有名なのだが、ここは銭湯なのにヒノキぶろがある。名ばかり露天風呂は黒湯でこれもよい。さらに素晴らしいのは黒湯の冷泉があったことだ。汗をかいた体に、この黒湯の冷泉がなんとも気持ちいいではないか。この独り自転車あそびはしばらく続きそうだ。次回はもうちょっと落ち着いてレポートしよう。


 追伸 インド思想を書くなんて大見得を切ったが、思いつきだけでは難しそうなので、しばらく方向転換だ。